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EV充電の仕組みを徹底解説|充電器・アプリ・決済をつなぐ8つの事業者とは?

EV充電の仕組みを徹底解説|充電器・アプリ・決済をつなぐ8つの事業者とは?

EV充電の仕組みを知る【第1回】

電気自動車(EV)の充電は、本来もっと簡単であってほしいものです。

充電器にコネクターを差し込み、必要な電気を充電し、料金を支払って出発する。ガソリン車の給油と同じように、誰もが迷わず利用できることが理想でしょう。

ところが、実際にEVで出かけてみると、充電器によって利用できるカードやアプリが異なったり、料金体系がわかりにくかったりすることがあります。

「充電器は目の前にあるのに、どうやって充電を始めればいいのかわからない」

そんな経験をしたことがあるEVユーザーもいるのではないでしょうか。

なぜ、充電という一見単純な行為が、これほど複雑になるのでしょうか。

その理由のひとつは、EV充電が単なる電気の供給ではなく、複数の事業者とデジタルシステムが連携するサービスだからです。

充電器の運営会社、会員サービスの提供会社、決済事業者、電力会社、そして自動車メーカー。私たちが充電コネクターを差し込むと、その背後ではさまざまなシステムが情報をやり取りしています。

今回から2回に分けて、EV充電を支える仕組みを解説します。

第1回となる本記事では、EV充電に関わる8つの主要な役割を整理します。第2回では、それぞれのシステムをつなぐOCPPやISO 15118などの通信規格を取り上げます。

1. EV充電は「充電器だけ」では成り立たない

例えば、旅行先の商業施設でEVを充電する場面を考えてみましょう。

まず、充電器が正常に動作している必要があります。利用者がカードやアプリで認証すると、システムは充電を許可するかどうかを判断します。

充電が始まると、充電器は電力量や稼働状況を記録し、必要な情報を管理システムへ送信します。充電終了後には、利用料金の計算や決済処理が行われます。

さらに、充電器が設置されている施設では、建物全体の電力使用量を考慮した電力制御が必要になることもあります。

この一連の処理には、複数の事業者やシステムが関わっています。

主な役割を整理すると、次の8つに分類できます。

EV充電を支える8つの役割

No.事業者・役割主な役割
01CPO充電器の運営・管理
02MSP利用者の認証・充電サービス
03ローミングプラットフォーム異なる充電ネットワークの接続
04PSP決済処理
05決済端末プロバイダーカード決済端末の提供
06DSO配電網の運用
07PKI運用事業者デジタル証明書の管理
08EV・充電器メーカー車両と充電器の開発・製造

それぞれの役割を、もう少し詳しく見ていきましょう。

2. CPO(充電ポイント運営事業者)|充電器を動かし続ける存在

CPOは「Charge Point Operator」の略で、充電設備の運営・管理を担う事業者です。

街中の普通充電器、商業施設の充電設備、高速道路の急速充電器など、設置場所はさまざまですが、いずれも適切な管理が欠かせません。

CPOの主な仕事は、充電器を設置して終わりではありません。

  • 充電器の稼働状況や故障の監視
  • 利用者の認証と充電開始・終了の管理
  • 充電履歴や利用料金に関する情報の管理
  • 保守・メンテナンスの手配

こうした業務を効率化するために使われるのが、CPMS(Charge Point Management System)またはCSMS(Charging Station Management System)と呼ばれる充電器管理システムです。

充電器とクラウドをつなぐ「OCPP」

充電器と管理システムの間では、OCPP(Open Charge Point Protocol)という通信規格が広く利用されています。

例えば、充電器が故障を検知した場合、その情報をクラウドに送信することで、管理者は現地に行かなくても異常を把握できます。

通信にはLANや携帯電話回線などが使われます。

OCPPに対応した充電器であれば、対応する異なる管理プラットフォームとの接続が可能になります。ただし、実際の接続には規格のバージョンや機能、相互接続試験などの確認が必要です。

EVOSの取り組み

EVOSのスマートAC充電器は、充電器とクラウドの連携を重視して設計されています。

EVOS CloudやAMPECOなどの充電管理プラットフォームとの連携により、充電設備の遠隔監視や運用管理を支援します。

※利用できる機能や接続先は、製品仕様および導入構成によって異なります。

3. MSP(モビリティサービスプロバイダー)|利用者と充電サービスをつなぐ

EV充電を利用する際、専用カードを充電器にかざしたり、スマートフォンのアプリを操作したりした経験はありませんか。

こうした利用者向けの充電サービスを提供する事業者が、MSP(Mobility Service Provider)です。

MSPは、利用者のアカウントや契約情報、認証手段、料金請求などを管理します。

認証方法には、主に次のようなものがあります。

  • RFIDカード:充電器にカードをかざして認証する
  • スマートフォンアプリ:アカウントを利用して充電を開始する
  • Plug & Charge:車両に搭載されたデジタル証明書を使って自動認証する

なお、充電器にクレジットカード決済端末が設置されている場合は、MSPの会員登録を必要としない利用方法もあります。

日本では「充電カード」と「アプリ」の使い分けが課題

日本でも、充電サービスによって対応する認証手段や料金体系が異なります。

そのため、普段利用している充電カードが旅行先の充電器では使えない、あるいは別のアプリへの登録が必要になる、といったケースが生じます。

MSPと充電ネットワークの連携が進めば、利用者は複数のサービスを意識することなく、より多くの充電器を利用できるようになります。

4. ローミングプラットフォーム|異なる充電ネットワークをつなぐ

携帯電話では、契約している通信会社のネットワーク以外でも通信できる「ローミング」という仕組みがあります。

EV充電にも、これと似た考え方があります。

例えば、A社の充電サービスに登録している利用者が、B社の運営する充電器を使えるようにする仕組みです。

これを実現するには、CPOとMSPの間で情報を交換する必要があります。

交換される情報には、充電器の所在地、利用可能状況、料金、利用者の認証、充電実績などが含まれます。

なぜローミングが重要なのか

充電ネットワークが増えるほど、利用者が個別のサービスに登録しなければならない状況は不便になります。

一方、充電事業者にとっても、利用できるユーザーが限定されることは設備の稼働率に影響します。

ローミングプラットフォームは、CPOとMSPの間の情報連携や契約関係を支えることで、異なるネットワークを横断した充電サービスの提供を可能にします。

ただし、プラットフォームに参加すれば自動的にすべての充電器が利用できるわけではありません。実際の利用範囲は、事業者間の契約や対応サービスによって決まります。

日本でも、充電ネットワーク間の相互利用を考えるうえで重要な仕組みです。

5. PSP(決済サービスプロバイダー)|充電料金を安全に処理する

充電が終わったあと、料金はどのように支払われるのでしょうか。

クレジットカードや電子決済などの取引を処理する事業者が、PSP(Payment Service Provider)です。

PSPは、カード決済の承認、売上確定、決済データの処理などを担います。

例えば、充電開始前にカードの利用可能枠を一時的に確保し、充電終了後に実際の利用料金を確定する仕組みがあります。

これは「事前承認(オーソリゼーション)」と呼ばれます。

決済サービスの例としては、StripeやAdyenなどがあります。

日本のEV充電で求められる決済の利便性

EV充電では、月額会員制、利用時間に応じた課金、電力量に応じた課金など、さまざまな料金体系が採用されています。

利用者にとって重要なのは、充電前に料金を確認でき、充電後に適切な金額が請求されることです。

また、決済情報を扱うシステムには、PCI DSSなどのセキュリティ基準への対応も重要になります。

6. 決済端末プロバイダー|カードをかざす「入口」を提供する

PSPと混同されやすいのが、決済端末プロバイダーです。

こちらは、充電器に組み込まれるカードリーダーや、独立した決済端末などを提供する事業者です。

例えば、充電器の横にある端末にクレジットカードをかざして充電を開始する場合、その端末を提供する会社が該当します。

決済端末と充電システムの接続方法には、大きく分けて2つの方式があります。

① 充電器メーカーによる連携

充電器メーカーが決済端末を機器側で接続し、端末メーカーの通信方式やソフトウェアを利用する方式。

② CPOのクラウドによる連携

CPOの管理システムが決済端末側のクラウドと接続し、決済処理や利用者向け画面などを管理する方式。

どちらの方式を採用するかによって、決済画面の表示、領収書の発行、決済処理の管理主体などが変わります。

なお、すべてのEV充電器にクレジットカード決済端末が搭載されているわけではありません。

7. DSO(配電系統運用者)|EV充電を電力網から支える

EV充電では、通信や決済だけでなく、電力そのものを安定して供給することも欠かせません。

DSO(Distribution System Operator)は、配電網の運用を担う主体です。

日本では、一般送配電事業者などが電力系統の運用を担っています。ただし、日本の制度上の事業者区分と海外で使われるDSOという用語は、必ずしも完全に一致するものではありません。

EVが増えると、なぜ電力管理が重要になるのか

例えば、複数のEVが同じ時間帯に充電を開始すると、施設の電力使用量が急激に増加する可能性があります。

特に、マンション、商業施設、企業の駐車場などで充電器を多数設置する場合は、建物の電力設備や契約電力を考慮した設計が必要です。

そこで重要になるのが、EMS(Energy Management System:エネルギーマネジメントシステム)です。

EMSを利用すると、建物の電力使用状況に応じて充電出力を調整したり、太陽光発電の余剰電力をEV充電に活用したりできます。

EVOSの取り組み:スマート充電とEMS

EVOSでは、充電器単体の性能だけでなく、建物全体の電力を考慮した充電制御にも取り組んでいます。

例えば、施設の電力使用量に応じた充電出力の調整や、太陽光発電を活用した充電などです。

充電設備を増設する際には、充電器の台数だけでなく、電力をどのように配分するかという視点も重要になります。

8. PKI運用事業者|Plug & Chargeの安全性を支える

将来、充電カードやアプリを取り出すことなく、充電コネクターを差し込むだけで認証と決済が完了するようになれば、EV充電はさらに便利になります。

その実現を支える技術のひとつが、Plug & Chargeです。

Plug & Chargeは、ISO 15118で規定される仕組みを利用し、車両と充電器がデジタル証明書を使って認証を行います。

その証明書を管理する基盤が、PKI(Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)です。

PKIには、証明書を発行する認証局や、証明書の登録・管理を担う組織など、複数の役割が存在します。

コネクターを差し込むだけで充電できる未来へ

Plug & Chargeに対応した車両と充電器、充電サービスが適切に連携すれば、利用者が毎回カードやアプリで認証する手間を減らせます。

ただし、車両と充電器がISO 15118に対応しているだけで、必ずPlug & Chargeを利用できるわけではありません。

契約情報、証明書の管理、充電サービス側の対応なども必要です。

利便性とセキュリティを両立させるためには、充電インフラ全体での連携が欠かせません。

9. EVメーカー・充電器メーカー|異なる製品をつなぐ共通言語

最後に紹介するのが、自動車メーカーと充電器メーカーです。

EVと充電器が安全かつ確実に動作するためには、双方が共通の規格に対応する必要があります。

代表的な規格には、次のようなものがあります。

  • IEC 61851:EVの導電式充電システムに関する規格
  • ISO 15118:EVと充電設備の通信に関する規格
  • OCPP:充電器と充電管理システムの通信規格

それぞれが異なる役割を持ち、EV充電の安全性や相互運用性を支えています。

日本の充電インフラでも相互運用性が重要に

日本では、普通充電と急速充電で異なる充電方式やコネクターが使われています。

また、充電器の通信機能や管理システムへの接続方法も、製品によって異なります。

充電設備を長期間運用するためには、現在の車両に対応しているだけでなく、将来的なシステム連携や保守性も考慮する必要があります。

充電器メーカーには、ハードウェアの品質に加えて、通信規格への適切な対応やソフトウェアの継続的な改善も求められます。

10. EV充電を支える仕組みは、さらに広がっている

ここまで8つの主要な役割を紹介しましたが、EV充電のエコシステムはこれだけではありません。

電力小売事業者、設置施設の所有者、電気工事会社、保守事業者、地図・ナビゲーションサービスなども、EV充電を支える重要な存在です。

また、充電設備が増えるにつれて、エネルギーマネジメントや蓄電池、再生可能エネルギーとの連携も重要になります。

EV充電は、単に自動車へ電気を供給する設備から、電力・通信・決済が一体となったインフラへと発展しています。

まとめ|EV充電の利便性を高める鍵は「つながること」

EV充電をより便利にするために必要なのは、充電器の数を増やすことだけではありません。

充電器、車両、管理システム、認証サービス、決済、電力設備が適切につながり、利用者がそれぞれの違いを意識せずに充電できる環境を整えることが重要です。

充電コネクターを差し込むという単純な操作の裏側では、さまざまな技術と事業者が連携しています。

その仕組みを理解することは、EVユーザーだけでなく、これから充電設備を導入する企業や施設管理者にとっても役立つはずです。

次回は、EV充電を支える通信規格に注目します。

OCPP、OCPI、ISO 15118は、それぞれ何をつなぐための規格なのか。充電器とクラウド、異なる充電ネットワーク、そしてEVと充電器の間で、どのような情報がやり取りされているのかを解説します。

EV充電の専門用語集

略語意味英語表記
CPO充電ポイント運営事業者Charge Point Operator
MSPモビリティサービスプロバイダーMobility Service Provider
CPMS充電器管理システムCharge Point Management System
CSMS充電ステーション管理システムCharging Station Management System
OCPP充電器と管理システム間の通信規格Open Charge Point Protocol
OCPI充電サービス間の情報連携に用いられるプロトコルOpen Charge Point Interface
PSP決済サービスプロバイダーPayment Service Provider
DSO配電系統運用者Distribution System Operator
PKI公開鍵基盤Public Key Infrastructure
EMSエネルギーマネジメントシステムEnergy Management System

EVOS Energy Japan

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