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EV充電器とクルマはどう会話する? IEC 61851・ISO 15118・CHAdeMOの仕組みをわかりやすく解説

EV充電の仕組みを知る【第2回】

EV(電気自動車)の充電は、コネクターを差し込むだけ。そう思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに、利用者が行う操作はそれほど複雑ではありません。

ところが、コネクターを差し込んだ瞬間から、EVと充電器の間では目に見えない「会話」が始まっています。

「クルマは接続されていますか?」

「安全に充電を開始できますか?」

「今、何アンペアまで電気を流しても大丈夫ですか?」

こうした情報をやり取りし、双方が充電できる状態であることを確認して、初めて電力の供給が始まります。

前回の記事「EV充電の仕組みを徹底解説|充電器・アプリ・決済をつなぐ8つの事業者とは?」では、EV充電を支える事業者の役割を紹介しました。

今回は、もう少し技術的な部分に踏み込んでみましょう。

テーマは、EVと充電器をつなぐ通信規格(プロトコル)です。

難しそうな言葉が並びますが、仕組みを知ると、EV充電がどのように安全性と利便性を両立しているのかが見えてきます。

1. EV充電では、どんな情報がやり取りされているのか?

EVと充電器の通信は、単に「充電を開始する」「充電を終了する」という指示だけではありません。

充電方式や車両・充電器の対応機能によって、やり取りされる情報は異なります。

例えば、高度なデジタル通信に対応したシステムでは、次のような情報を交換できます。

EVと充電器の会話をのぞいてみよう

EVから充電器へ

  • 「これだけの電力が必要です」
  • 「この電圧・電流の範囲で充電できます」
  • 「出発予定時刻は午前8時です」
  • 「この充電契約で認証してください」

充電器からEVへ

  • 「現在は最大30Aまで供給できます」
  • 「利用者の認証が完了しました」
  • 「安全確認が完了しました」
  • 「電力状況に応じて充電出力を調整します」

もちろん、すべてのEVと充電器がこれらの情報を交換できるわけではありません。

一般的なAC普通充電では、充電可能な電流や車両の接続状態など、基本的な情報をやり取りします。

一方、高度なデジタル通信に対応した充電システムでは、認証情報や充電スケジュールなど、より多くの情報を交換できます。

さらに、充電器はクラウド上の充電管理システムとも通信し、稼働状況や充電履歴などを送信しています。

利用者がコネクターを差し込むという単純な操作の裏側には、こうした複数の通信が存在しているのです。

2. EVと充電器の通信には「2つの方法」がある

EVと充電器の通信は、大きく分けて2つの方式があります。

基本的な通信:① アナログ信号による通信
IEC 61851に基づき、接続状態や供給可能な電流を伝える。
高度な通信:② デジタル通信
ISO 15118などを使い、認証情報や充電条件などのデータを交換する。

この2つは、どちらか一方だけを選ぶというものではありません。

例えば、CCS方式では、基本的な安全確認を行うIEC 61851の仕組みを土台として、その上にデジタル通信を組み合わせています。

まずは、基本となるIEC 61851から見ていきましょう。

3. IEC 61851とは? EV充電の安全性を支える基本規格

IEC 61851は、EVの導電式充電システムに関する国際規格です。

その中でもIEC 61851-1は、充電システムの一般要求事項を定めています。

日本で利用される一般的なAC普通充電でも、この規格に基づく制御が重要な役割を果たしています。

例えば、EVが接続されていない状態で充電ケーブルの電力端子に不用意に電圧がかからないようにすることや、車両が充電可能な状態であることを確認する仕組みです。

その中心となるのが、Control Pilot(コントロールパイロット)、略してCPと呼ばれる信号線です。

CP(Control Pilot)は何をしているのか?

CPは、EVと充電器の間で基本的な制御信号をやり取りするための線です。

充電器はCPを通じて、車両の接続状態を確認するとともに、供給可能な電流を知らせます。

ここで使われるのが、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)という技術です。

難しい名前ですが、仕組みは意外とシンプルです。

4. PWM制御とは? 充電器が「何アンペアまで使えるか」を伝える仕組み

PWMとは、電気信号のONとOFFの時間の割合を変えることで、情報を伝える技術です。

例えば、信号が一定の周期でONとOFFを繰り返しているとします。

そのうち、ONになっている時間の割合を「デューティ比(Duty Cycle)」と呼びます。

PWM信号のイメージ

ONの時間が長いほど、デューティ比が大きくなります。

デューティ比50% / 10% / 50% / 85%
IEC 61851の該当範囲で示される最大電流30.0 A

計算式:最大電流(A)=デューティ比(%)× 0.6

10〜85%の範囲を示した説明用シミュレーターです。実際の充電電流は車両や設備の制約によって異なります。

例えば、デューティ比が50%の場合、充電器は最大30Aまで利用できることをEVに伝えます。

車両はその情報を読み取り、指定された上限を超えないように充電電流を制御します。

ただし、PWM信号は充電器が実際に30Aを流し込むという意味ではありません。

充電器が利用可能な電流の上限を伝え、実際に流れる電流は車両側が制御するという点が重要です。

また、デューティ比と電流の関係は全範囲で同じ計算式になるわけではありません。IEC 61851では、電流の範囲によって異なる計算式や特別な信号値が定められています。

日本の6kW普通充電器ではどうなる?

日本の一般的な単相200VのAC普通充電器を例に考えてみましょう。

充電器が最大30Aまで供給できる場合、理論上の電力は次のようになります。

200 V × 30 A=6,000 W

つまり、6kWです。

ただし、実際の充電電力は車両側の充電能力や電圧、設備側の制御などによって変わります。

例えば、車両の車載充電器が3kW程度までしか対応していない場合、6kWの普通充電器につないでも6kWで充電できるわけではありません。

充電器と車両の両方が対応して、初めてその出力を利用できるのです。

5. 充電開始までの流れ|State A・B・Cとは?

PWM信号の役割がわかったところで、実際に充電が始まるまでの流れを見てみましょう。

IEC 61851では、CP信号の電圧状態などを利用して、車両の接続状態や充電準備の状況を判別します。

代表的なのがState A、State B、State Cです。

EV充電の基本シーケンス

State A|約+12V
車両が接続されていない状態
充電器は待機しています。CP信号は約+12Vの状態です。
State B|約+9V
車両が接続された状態
コネクターを差し込むと、車両側の抵抗回路によってCP信号の電圧が変化します。 充電器は車両が接続されたことを認識し、PWM信号によって供給可能な電流などを伝えます。
State C|約+6V
車両が充電可能な状態
車両側が充電準備を完了すると、CP信号の状態が変化します。 充電器は必要な安全条件を確認したうえで、電力供給を開始します。
充電終了
待機状態へ戻る
車両が充電を停止すると、状態はState Bなどへ戻ります。 コネクターを取り外すと、State Aに戻ります。

電圧値はCP信号の代表的な正側電圧です。実際の制御では負側電圧や各種安全条件も確認されます。

このように、EVと充電器は接続状態を段階的に確認しています。

充電器が車両の接続を検知しただけで、直ちに電力を供給するわけではありません。

State D・E・Fも存在する

IEC 61851には、ほかにも状態が定義されています。

状態意味
State D車両が換気を必要とする状態
State ECP回路の異常などを示す状態
State F充電器が利用不可であることを示す状態

State Dは、充電時に換気を必要とするバッテリーなどを想定したものです。

現在の一般的なリチウムイオン電池搭載EVの普通充電では、通常使用されません。

また、State EやFは異常・利用不可に関する状態ですが、特定の故障原因を一意に示すものではありません。

このような状態管理があるからこそ、充電器は車両の接続や充電準備を確認しながら、安全に電力を供給できるのです。

6. 充電コネクターの中身を知っていますか?

EV充電の仕組みを理解するうえで、もうひとつ知っておきたいのが充電コネクターの構造です。

日本で一般的に使われているAC普通充電用のType 1コネクターには、5つの接点があります。

電気を供給するだけでなく、接続状態や充電条件を伝えるための接点も設けられています。

Type 1コネクターの5つの接点

Type 1の5つの接点を説明する概念図。実際の端子配置・形状を示す製造用図面ではありません。

接点名称役割
L1電力線AC充電用の電力を供給する。
N中性線L1とともにAC電力の回路を構成する。
PE保護接地感電防止などの安全性を確保するための接地線。
CPControl Pilot車両の接続状態や供給可能電流を伝える。
PPProximity Pilotコネクターの接続・ラッチ状態などの検知に使われる。

なお、PPの具体的な機能はコネクター方式によって異なります。

Type 1では接続・ラッチ状態の検知などに利用され、Type 2ではケーブルの許容電流を識別する仕組みもあります。

同じEV充電用コネクターでも、規格によって細かな設計が異なるのです。

7. IEC 61851だけでは足りない? ISO 15118が必要になった理由

ここまで紹介したIEC 61851の基本的な通信は、車両の接続状態や供給可能電流を伝えるうえで重要な役割を果たしています。

しかし、EV充電が普及するにつれて、それだけでは対応できない新しいニーズが生まれてきました。

例えば、次のような機能です。

  • 充電カードを使わずに自動認証したい。
  • 電気料金が安い時間帯に充電したい。
  • 出発予定時刻に合わせて充電を完了させたい。
  • 太陽光発電の余剰電力を活用したい。
  • EVのバッテリーから建物や電力網へ電気を供給したい。

こうした高度な機能を実現するためには、単に電流の上限を伝えるだけでなく、車両と充電器がより多くの情報を交換する必要があります。

そこで登場するのが、ISO 15118です。

ISO 15118とは?

ISO 15118は、EVと充電設備の間で行われるデジタル通信を定めた国際規格です。

充電条件の調整、認証、充電スケジュールなど、より高度な情報交換を可能にします。

ただし、ISO 15118に対応しているだけですべての機能が利用できるわけではありません。

実際に使える機能は、車両、充電器、管理システム、サービス契約などの対応状況によって異なります。

8. PLCとは? 既存の信号線を使ってデジタル通信する技術

ISO 15118やDIN SPEC 70121に基づくCCSのデジタル通信では、PLC(Power Line Communication:電力線通信)という技術が使われます。

ここで少し面白いのが、通信のために新しい専用ケーブルを追加する必要がないことです。

CCSでは、すでに基本的な制御に使われているCPとPEを通信経路として利用し、高周波信号によってデジタルデータをやり取りします。

基本通信からデジタル通信へ

  1. EV ⇄ 充電器
    CP信号による基本的な状態確認
  2. デジタル通信が必要
    PWMのデューティ比:5%
  3. 高度な通信が必要であることを示す
    PLC通信
  4. ISO 15118 / DIN SPEC 70121
    認証情報・充電条件などのデータを交換

IEC 61851では、デューティ比5%のPWM信号が、高度なデジタル通信を必要とすることを示します。

この仕組みによって、基本的な安全確認と高度なデータ通信を組み合わせることができます。

なお、これは主にCCS方式の通信を説明したものです。日本で普及しているCHAdeMOなど、異なる通信方式を採用する急速充電規格もあります。

9. DIN SPEC 70121とISO 15118は何が違う?

CCS方式のデジタル通信を調べると、ISO 15118とともにDIN SPEC 70121という規格が登場します。

どちらもEVと充電器の通信に関係しますが、その位置付けは異なります。

規格主な特徴
DIN SPEC 70121CCSのDC充電向けデジタル通信仕様
ISO 15118-2AC・DC充電に対応する通信仕様。Plug & Chargeなどを規定
ISO 15118-20双方向電力伝送など、さらに高度な機能を規定

DIN SPEC 70121は、ISO 15118の標準化が進む過程で策定された仕様です。

一方、ISO 15118は、より広い範囲の充電通信を扱っています。

ISO 15118-20では何が変わる?

2022年に発行されたISO 15118-20では、双方向電力伝送や複数契約の取り扱いなど、より高度な機能が規定されています。

例えば、EVのバッテリーに蓄えた電気を建物や電力網へ供給するV2H・V2Gなどの技術にも関係します。

ただし、ISO 15118-20への対応と、実際にV2H・V2Gが利用できることは同じではありません。

車両や充放電設備のハードウェア、系統連系要件なども満たす必要があります。

10. Plug & Chargeとは? カードもアプリも不要になる充電方式

EV充電をさらに便利にする技術として注目されているのが、Plug & Charge(プラグ・アンド・チャージ)です。

名前のとおり、充電コネクターを差し込むだけで、利用者の認証や充電開始に必要な処理を自動化する仕組みです。

従来の公共充電では、充電カードをかざしたり、アプリで充電器を選択したりする操作が必要な場合があります。

Plug & Chargeでは、対応する車両と充電器がデジタル証明書などを使って認証を行います。

Plug & Chargeの基本的な流れ

  1. コネクターを差し込む
    車両と充電器が接続を認識します。
  2. デジタル証明書で認証
    車両に登録された充電契約などの情報を利用して認証します。
  3. 充電を開始
    認証と必要な安全確認が完了すると、充電が始まります。
  4. 充電終了後に料金処理
    充電実績に基づき、契約したサービスを通じて料金が処理されます。

ここで重要なのは、Plug & Chargeが単なる「自動充電開始機能」ではないことです。

車両、充電器、充電サービス、デジタル証明書の管理基盤など、複数のシステムが連携する必要があります。

なお、ISO 15118に基づくPlug & Chargeと、メーカー独自の車両認証などを利用した自動充電サービスは、技術的な仕組みが異なる場合があります。

日本でもPlug & Chargeの取り組みが進んでいる

日本では、CHAdeMO方式でもPlug & Chargeに関する取り組みが進められています。

CHAdeMO協議会は2026年5月にCHAdeMO 2.1を発行し、HondaとPLUGOが共同開発したPnC仕様を盛り込みました。この仕組みはISO 15118の証明書ベースの方式とは異なり、CHAdeMOのCAN通信やテレマティクスを活用するものです。

同じ「コネクターを差し込むだけ」という利用体験でも、その裏側では異なる技術が使われているのです。

11. 日本の急速充電規格「CHAdeMO」は何が違う?

ここまでIEC 61851やISO 15118を中心に解説してきましたが、日本のEV充電を考えるうえで欠かせないのがCHAdeMO(チャデモ)です。

CHAdeMOは、日本発のEV急速充電方式です。

普通充電で使われるType 1とは異なり、車両のバッテリーへ直流電力を供給するための専用コネクターを使用します。

CHAdeMOはCAN通信を利用する

CHAdeMOの特徴のひとつは、車両と充電器の間でCAN(Controller Area Network)通信を利用することです。

CANは自動車の電子制御システムなどでも広く使われている通信技術です。

CHAdeMOでは、車両と充電器がバッテリーの状態や充電条件などをやり取りし、直流電力の供給を制御します。

一方、CCSではCP信号による基本的な制御に加えて、PLCによるデジタル通信を利用します。

つまり、どちらもEVと充電器が情報を交換する仕組みですが、使用する通信技術が異なります。

CHAdeMOはV2Hにも関係している

CHAdeMOは、EVから外部へ電力を供給する双方向充放電にも対応してきました。

例えば、EVのバッテリーに蓄えた電気を住宅へ供給するV2H(Vehicle to Home)です。

日本では、EVを移動手段としてだけでなく、家庭や施設のエネルギー設備として活用する取り組みも進められています。

CHAdeMOの規格開発や対応機器については、

CHAdeMO協議会の公式サイト

で確認できます。

12. CCS・CHAdeMO・GB/T・NACS|世界の充電規格を比較

EVの充電方式は、世界共通でひとつに統一されているわけではありません。

地域や自動車メーカーによって、異なるコネクターや通信方式が採用されています。

主なEV充電方式の比較

代表的なDC急速充電方式と、その通信技術を整理しました。

方式主な採用地域通信方式
CHAdeMO日本などCAN通信
CCS1北米などPLC通信
CCS2欧州などPLC通信
GB/T中国CAN通信
ChaoJi日中共同開発の次世代方式CAN系通信
NACS / J3400北米を中心に採用規格・実装に応じたデジタル通信

代表的な方式の概要です。実際の通信仕様や対応機能は規格のバージョン、車両、充電器によって異なります。

CCS1・CCS2とは?

CCSはCombined Charging Systemの略称です。

AC充電用のコネクター形状を基礎として、DC急速充電用の端子を追加した構造を採用しています。

CCS1はType 1を基礎とする方式で、CCS2はType 2を基礎とする方式です。

欧州ではCCS2が広く採用されていますが、日本の公共急速充電ではCHAdeMOが重要な役割を担っています。

GB/TとChaoJiとは?

GB/Tは、中国の国家規格に基づく充電方式です。

急速充電ではCAN通信を利用します。

一方、ChaoJi(チャオジ)は、CHAdeMO協議会と中国電力企業連合会が共同開発を進めてきた次世代の大出力充電方式です。

従来のCHAdeMOやGB/Tとの相互運用性も考慮されていますが、既存のコネクターにそのまま接続できるという意味ではありません。対応には適切な機器やアダプターなどが必要です。

13. NACS(SAE J3400)とは? 日本でも注目される充電規格

もうひとつ注目したいのが、Teslaが開発した充電コネクターを基礎とするNACS(North American Charging Standard)です。

NACSは、SAE J3400として標準化が進められてきました。

コンパクトなコネクターでAC充電とDC急速充電の両方に対応する設計が特徴です。

NACSとISO 15118の関係

NACSのコネクター形状と、車両・充電器間の通信規格は区別して考える必要があります。

SAE J3400では、CCSとの通信面での相互運用性を考慮した仕様が採用されています。

ただし、NACSコネクターを搭載しているだけで、すべてのCCS充電器やPlug & Chargeサービスが利用できるわけではありません。

車両と充電器の通信方式、ソフトウェア、認証システムなどが対応している必要があります。

日本で充電器を導入する際の注意点

日本で充電設備を導入する場合、現在の利用車両だけでなく、将来導入する車両の充電方式も確認しておきたいところです。

特に企業の社用車や配送車両、タクシーなどでは、複数メーカーのEVを運用するケースがあります。

その場合、充電器のコネクター形状だけでなく、車両との適合性、最大充電出力、管理システムとの連携なども重要になります。

充電器選びでは、コネクターが接続できることと、実際に充電できることを分けて考える必要があります。

14. スマート充電の時代へ|通信規格がエネルギー管理を変える

EV充電の通信技術は、充電の安全性を確保するだけのものではありません。

これからは、電力を効率的に利用するための重要な技術にもなります。

例えば、企業の駐車場に10台のEV充電器を設置する場合を考えてみましょう。

すべての車両が同時に最大出力で充電すると、建物の電力使用量が大きく増加する可能性があります。

そこで、EMS(エネルギーマネジメントシステム)を利用し、建物の電力使用量に応じて各充電器の出力を調整します。

このような制御を実現するには、充電器と管理システムの通信が重要です。

例えば、OCPPを利用して充電器とクラウドを接続し、充電出力の制御や稼働状況の監視を行うことができます。

一方、ISO 15118などによって車両側の充電要求やスケジュール情報も取得できれば、より高度な充電制御につながります。

ただし、OCPPとISO 15118は役割が異なる通信規格であり、すべてのスマート充電機能に両方が必要というわけではありません。

EVOSの取り組み

充電器を、エネルギーを管理する設備へ

EVOSでは、AC充電器の通信機能とEMSを組み合わせ、施設の電力使用状況に応じたスマート充電に取り組んでいます。

例えば、建物の使用電力に応じて充電出力を調整するピーク制御や、太陽光発電の電力を優先的に活用する充電制御などです。

EVの普及に伴い、充電器は単に電気を供給する設備から、建物全体のエネルギー管理に関わる設備へと進化しています。

※対応機能は製品モデル、ソフトウェアおよびシステム構成によって異なります。

まとめ|EV充電の進化を支えるのは「共通言語」

EV充電は、コネクターを差し込めば電気が流れるという単純な仕組みではありません。

車両と充電器が接続状態を確認し、利用できる電流や充電条件を調整し、必要に応じて認証や決済のための情報を交換しています。

その基盤となるのが、IEC 61851やISO 15118などの通信規格です。

また、日本で普及しているCHAdeMOや、北米を中心に採用が進むNACSなど、充電方式によって異なる通信技術も使われています。

重要なのは、どの規格が使われているかということだけではありません。

車両と充電器が適切に通信でき、利用者が安心して充電できること。そして、将来的には電力網や再生可能エネルギーとも連携できることです。

EV充電の進化を支えているのは、目に見えるコネクターや充電器の性能だけではなく、その裏側にある通信技術なのです。

次回は、充電器の外側に目を向けてみましょう。

充電器とクラウドをつなぐOCPP、異なる充電ネットワークをつなぐOCPIなど、EV充電のエコシステム全体を支える通信規格について解説します。

EV充電の通信規格・用語集

用語意味
IEC 61851EVの導電式充電システムに関する国際規格
PWMパルス幅変調。信号のONとOFFの時間比率によって情報を伝える技術
CPControl Pilot。車両と充電器の基本的な制御信号線
PPProximity Pilot。コネクターの接続状態などの検知に利用される
PLCPower Line Communication。電力線などを通信経路として利用する技術
ISO 15118EVと充電設備のデジタル通信に関する国際規格
DIN SPEC 70121CCSのDC充電向け通信仕様
CHAdeMO日本発のEV急速充電方式
CCSCombined Charging System。ACとDCの充電インターフェースを組み合わせた方式
NACSNorth American Charging Standard。SAE J3400として標準化された充電方式
OCPP充電器と充電管理システム間の通信プロトコル
OCPI充電サービス事業者間の情報連携に用いられるプロトコル

EVOS Energy Japan

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